はんこ・印章制作に携わる私たちの考え。
はんこ作成をお考えのお客様の中には「安ければ機械彫りでよい。」という方もいらっしゃいます。技術や道具の進歩は時代とともに進むことを否定できません。しかしながら、印章の意味合いと制作課程を考えると、現在のようなロボットによるコンピュータソフト頼りの機械彫りは否定せざるを得ません。全く同じ印影を持つ印章が世の中にたくさん出てしまいます。また、印影の解析をして偽造することも容易です。役所としては見分けることもできませんし、同印影の実印によってこうむった被害を補うことはしません。個人として「そのような印章を実印として登録したのは本人の責任だから」です。
道具の進歩としてのロボットを否定するわけではなく、コンピュータを使って創作した印影を使用しても、必ず最後には職人の手による仕上げをしたものであれば、唯一の印影を持つ印章となり、時代との折り合いの取れたものとなります。
また「はんこ・印章は完全に手彫りでなければいけない。」という方もいらっしゃいます。これはある意味で正しいのですが、実際に職業として印章を彫っている我々としては、「喜んでお受けします」とは中々いえません。
というのは、もし完全手彫りで15ミリ丸の水牛の実印を字入れから仕上げまで全部手で行うと、字にもよりますが、1本彫るのにある程度手を抜いても12~20時間くらいはかかってしまいます。真剣に品評会レベルの良い手彫りの場合は200時間くらいかけます。こうなっては1本60万円とか100万円という話となります。
はんこ・印章制作に江戸時代から携わってきた職人として、私たちはユーザーの方により安価に安心できる品物を供給するため、道具・工具の進歩を有効に使用してきました。ほとんどのところは「粗彫り」といわれる工程です。印影をつくり、それをもとに印材へ字入れをし(布字といいます)、「粗彫り」をし、印面調整をし、墨打ちをし、仕上げ刀で仕上げる。その工程の中で、「粗彫り」を機械化することは昔から努力されてきました。
【手彫り】
「字入れ」から「粗彫り」、「仕上げ」まで完全に機械を使用せずに作られたもの。現在はすべて手で制作する職人は数少なくなってきています。
【手仕上げ】
「字入れ」(文字のデザイン)、「仕上げ」(印刀による)は職人が手作業をし、「粗彫り」のみ機械を使用。現在の主流です。昔のように職人が「月に3本実印を彫れば暮せる」価格から、皆様が納得できる価格へ変化してきたのも、道具としての機械を部分的に導入した結果です。職人の独自性とデザイン感覚を表現することが出来ます。
【機械彫り】
「字入れ」「仕上げ」をコンピュータのみで、またコンピュータによらず手作業で「字入れ」したものでも「仕上げ」を機械・ロボットで行ったもの。同じ印影を持つものが出来易い。
一岳堂のはんこ・印章はすべて手仕上げ以上の彫り方で仕上げております。登録する印章は機械彫りを避けましょう。
「はんこ」「印章」「印鑑」の違い
「はんこ」、「印章」、「印鑑」は普段は混同されて使われている言葉ですが、実はかなり違いが有ります。
まず、「印鑑」ですが、本来「鑑」は「かがみ(鏡)」という意味で、印章を押した印影をさします。よって、印章技術者は「印章」を「印鑑」とは呼びません。「印鑑」を売る・作るということは正しい言い方ではありません。あくまで「印章」は印章です。我々の全国組織も(社)全日本印章業協会・全日本印章業組合連合会であって、印鑑業とは言いません。
「はんこ」は「判子」であって、「判」はもともと「刀」=「リ」で「半」=「ふたつにする」から、印章でおした印影が同じものという意味合いで「判+子」で「判子」→「はんこ」となったようです。